はじめに:約3割が「会社に言えない」——企業管理に潜む死角
4月の「青切符(交通反則通告制度)」導入以降、自転車をめぐる企業のコンプライアンス環境は激変しました。
最近の意識調査(出典/Merkmal等)によると、自転車通勤中に青切符を切られた経験のある従業員のうち、実に27.7%(約3割)が「会社に報告していない(報告できなかった)」と回答しています。
さらに恐ろしいことに、企業側の75.6%が「自転車通勤に関する明確な規程がない、または把握していない」というガバナンス不全に陥っている実態が浮き彫りになりました。
「違反した従業員個人の問題」と放置することは、企業にとって極めて大きな経営リスクです。もし青切符を切られるような危険運転を繰り返している従業員が通勤・業務中に重大事故を起こした場合、企業は使用者責任(民法715条)や安全配慮義務違反を問われ、数千万円〜億円規模の賠償金とブランド毀損という致命的なダメージを負うことになります。
当協会(JBRA)が提唱する「自転車安全アドバイザー」は、こうした企業の死角を塞ぎ、組織と地域社会の双方を物理的・法的なリスクから守るための実践的プロフェッショナルを育成して参ります。
従来の「交通安全教室」が機能しない根本原因
これまで警察や自治体、学校などで行われてきた交通安全教室や講習の多くは、「ルールを守りましょう」「車道左側を走りましょう」というマナー標語の繰り返しや精神論に終始しがちでした。
しかし、人間は「知識」としてルールを知っているだけでは行動を変えません。
「自分だけは事故を起こさない」という正常性バイアスが働くため、お説教型の講習は「他人事」として聞き流されてしまうのです。
「自転車安全アドバイザー」が提供するのは、お説教ではありません。
「なぜその場所が危険なのか」「事故が起きた場合、物理的・法的にどのようなリスクが生じるのか」を正しく把握させる「構造的認知」の教育です。
具体的に何をするのか?(1)B2B:企業の連座リスクを防ぐ「社内防衛」
企業における自転車安全アドバイザーの具体的な役割は、単なるマナー指導にとどまりません。
隠蔽を防ぐコンプライアンス体制の構築 「言えない・隠す」環境をなくすため、ペナルティではなく安全教育を再受講させる仕組みなど、透明性の高い社内運用をアドバイスします。
自転車通勤・業務利用規程の策定支援 実効性のない形骸化した社内ルールの見直し、ヘルメット着用の義務化、TSマーク・賠償責任保険加入チェックの制度化を行います。
走行環境と危険個所の「実務的リスクアセスメント」 従業員の通勤ルートや業務での走行エリアにおいて、過失割合が高くなりやすい交差点や見通しの悪い路地などを分析し、危険回避指導を実施します。
具体的に何をするのか?(2)B2C:地域の命を守る「ハザードマップ構築」
アドバイザーの役割は、企業内だけにとどまりません。
地域コミュニティ(自治会、PTA、各種モビリティ事業者)においても強力なリーダーシップを発揮します。
従来の標語だらけのハザードマップではなく、「現場の物理的リスク(段差・勾配・見通し)と過去の過失割合判例」を組み合わせた「実践的ハザードマップ」を地域住民とともに作成・運用します。
事故が発生してから警察の現場検証を待つのではなく、地域の日常的な目線で危険を先回りして発見し、共有するインフラを構築します。
どのような人が「自転車安全アドバイザー」になるのか?
本資格は、特定の職種だけを対象とするものではありません。以下のような幅広い現場で活躍するリーダーを想定しています。
自転車販売店・モビリティ事業のスタッフ(車体だけでなく「走り方・環境」まで助言するプロ)
企業の総務・人事・安全運転管理者(社員の通勤・業務リスクを管理する立場)
デリバリー・出張サービス・物流事業者の安全指導担当者
自治体・PTA・地域コミュニティの安全推進リーダー
おわりに:安全は「危険を正しく知ること」から始まる
「気をつけて走りましょう」という言葉だけで命や会社を守れる時代は終わりました。
法改正(青切符)によってルールの厳格化が進む今だからこそ、ルール(ハード)を理解したうえで、現場の危険を正しく予測し、回避策を組織や地域に伝授できる「アドバイザー(ソフト)」が不可欠です。
当協会(JBRA)は、「自転車販売士」で車体の安全を担保し、「自転車安全アドバイザー」で運行と組織の安全を担保する——この両輪によって、真に安心できる社会インフラの構築を目指してまいります。
資格カリキュラムおよび受講案内につきましては、決定次第、本サイトおよび公式noteにて発表いたします。

