【こがない自転車は、自転車じゃない】ブームに沸く「特定小型原付」の盲点と、乗り手が背負う重い責任| JBRA

自転車じゃない
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2026年6月、電動モビリティ業界である象徴的なニュースが飛び込んできました。これまで15万円台で販売されていた人気の特定小型原付(電動サイクル)が、夏本番に向けた乗り換え需要をターゲットに、一気に9万円台へと大幅なプライスダウンを敢行したのです。

「ペダルをこがずに時速20キロで走れるなんて最高じゃないか」 「アンダー10万円なら、ママチャリやクロスバイクの代わりに買ってみよう」

そう言って、手軽な「新しい自転車」として飛びつこうとしているあなたに、自転車販売士の視点から極めて冷酷な事実を突きつけます。

断言します。
「こがない自転車」は、自転車ではありません。

どんなに見た目が自転車に似ていようとも、法律上も、構造上も、乗り手が背負う責任の重さも、私たちがよく知る自転車とは180度異なる「完全に別の車両」です。この本質を知らずに手軽さだけで公道に出ると、あなたはとんでもないインフラの罠にハメられることになります。

自転車という「文字」をもう一度確認してください

メーカーやメディアは親しみやすさを出すために「新しい自転車のカタチ」「フル電動自転車」という言葉を巧みに使います。

しかし、道路交通法における正確な分類は「特定小型原動機付自転車」。つまり、100%原動機付自転車(バイク)の仲間です。

「16歳以上なら免許不要」
「ヘルメットは努力義務」
という免除の側面ばかりが強調されますが、その裏に課されている義務とリスクは、自動車や一般のバイクと全く同じ重さです。

  • ナンバープレート(標識)の取得と機体への装着義務
  • 自賠責保険(共済)への原則加入義務(未加入走行は一発で赤切符・刑事罰の対象)
  • 16歳未満の者への運転・貸し出しの厳禁(違反した場合は提供者も処罰)

これらをすべて理解し、手続きをクリアして初めて公道に出られます。

「手軽な自転車感覚」でネットで購入し、ナンバーも付けずにその辺の道路を走った瞬間、あなたは「無登録・無保険運転」という重大な法律違反の犯罪者になります。

すでに青切符・赤切符が施行されている現代において、お上の取り締まりの網は、こうした無自覚なユーザーに対して容赦なく振り下ろされています。

「こがない」という快楽の代償と、道路インフラの不都合な真実

特定小型原付の原則の走行場所は「車道(または自転車道)」です。
法律で定められた最高時速20キロという、原付バイクとしてはあまりにも遅く、自転車としてはやや速い中途半端な固定速度で、時速60キロの大型トラックやバスがビュンビュン行き交う車道の左端を走り続けなければなりません。

先述した通り、日本の車道左端は路上駐車の列、排水溝(グレーチング)の深い溝、ガラス片などのゴミが散乱する、生身の人間にとっては「障害物競走」のような危険地帯です。

ペダルを「こぐ」という人間の絶妙な微調整(加減速や抜重、段差の手前で腰を浮かせるなど)が一切効かないフル電動の乗り物において、これらの悪条件を時速20キロで維持しながら避け続けることが、どれほど生身の身体に恐怖と危険を与えるか。

「怖くなったから歩道に逃げよう」と、最高速度を時速6kmの歩道モードに切り替え忘れたまま歩道を走行すれば、あなたは一瞬で、歩行者をはねる重大な人身事故の加害者になります。

この際に歩行者との交通事故で追う責任は、想像を絶する負担を伴います。
それは、あなたの人生を根底から狂わしかねない、文字通り「狂気な交通事故」になってしまうのです。

ルールは「縛り」ではなく、自分を守るための社会の規則

ここで、火曜日のnoteでもお伝えした本質に立ち返る必要があります。
ルールとは、私たちを縛り付けてストレスを与えるためにあるのではありません。お互いの安全と関係を保つために存在しています。

新しいモビリティが登場し、価格が下がり、誰でも乗れるようになるからこそ、「なぜそのルールがあるのか」という本質(メリットとリスク)を乗る側が真剣に学ばなければ、手軽さに隠された重いペナルティに人生を潰されることになります。

万が一、道路インフラの不備や周囲の誤解によってトラブルに巻き込まれた際、あなたが「正しい知識で、合法的に走っていた」という事実を客観的に証明できなければ、日本の法律はあなたを助けてくれません。

JBRAでは、こうした混沌とした新しいモビリティ時代を生き抜くための正しい知識の啓発と、あなたの正当性を数学的に証明する「ハッシュ公証」の仕組みを提唱しています。

便利さに飛びつく前に、まずその車両の本当の定義と責任の重さを知ること。

当協会は法律を変える力はありませんし、そんな気持ちもありません。

しかし、新しい乗り物のブームの裏に隠された「見えていないリスク」を、これからも日本一わかりやすく、コツコツと解説し続けてまいります。

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